大腸内視鏡のすすめ

 近年大腸癌や大腸ポリープは、増加傾向にあります。この病気に対し自治体でおこなう検査として大腸癌検診があります。これは便に含まれる微量の血液を検出する検査です。癌や大きなポリープはその表面から出血している場合が多いという性質を利用した検査法です。現在一般的にこの検査で異常を認めた場合、大腸の精密検査を受けることがすすめられています。大腸の精密検査には大腸内視鏡とバリウムによる注腸造影の2種類があります。いずれ長所と短所ありますが当院では大腸癌検診の2次検査としては大腸内視鏡検査をおすすめしています。大腸内視鏡の大きなメリットは生検(組織の一部をつまんで顕微鏡で見る検査)が観察と同時に行うことができることです。内視鏡での観察と生検により小さな病変でもそれが癌であるか否かをはっきりさせることができます。これに対しバリウム注腸では異常を認めた場合、後日あらためて大腸内視鏡を行うことになり2度手間になってしまいます。

一般的に大腸内視鏡は苦痛を伴う検査とされています。確かに前日からの検査食や当日の下剤の内服は面倒ですし、検査中もおなかが張りますのでいやなものです。しかし検査中の「痛み」は検査を行う医師の技量により大幅に変わってきます。大腸はS状結腸と横行結腸の2つの部位が弛んでおりこの部分を内視鏡で通過する際に腸が伸ばされすぎるとたいへん痛みを伴うのです。この部分をいかに痛み無く挿入、通過するかが内視鏡を行う医師の技量により異なってくるのです。この部分を痛み無く挿入することは結果的に速く盲腸(大腸の一番奥)に到達することにつながり、検査時間も短くてすみます。当院では日本消化器内視鏡学会 指導医および専門医が大腸内視鏡を行っており、可能な限り楽に検査ができるように心がけております。当院の最近の大腸内視鏡100件の検査では盲腸到達率99%、検査開始より盲腸に到達するまでの時間は平均932秒で、70%の患者さんで10分以内に盲腸に到達しております。全検査時間の平均は1658秒でした。確実に病変の有無をチェックすることが検査の目的ですが、苦痛なくおこなうことを前提としておりますので不安感のつよい患者さんには鎮静剤の投与も適宜おこなっております。

大腸癌は致死的な病気ですが早期に発見すれば内視鏡治療のみで治癒することが多い病気です。いままで痛いからしたくないと躊躇していた皆さんも是非大腸内視鏡を受けてみてください。


海宝病院 外科 海宝雄人